「語りの場」 10月12日 土曜日  13:15〜15:45

午後C
福祉
「こころのリカバリー総合支援センターの活動とソリューション?
引きこもりから地域精神保健」
阿部 幸弘さん(こころのリカバリー総合支援センター)

「こころのリカバリー総合支援センター」(通称「ここリカ」)は精神科デイケア単独で運営されている医療機関です。このスタイルは、全国にあまり残っていないと聞きます。いわゆる外来も入院もないので”病院くささ”がほとんどないのが、たぶん特徴かと思います。外観も小さな町の学校のような佇まいです。歴史的には、精神障碍者の福祉制度が事実上皆無だった時代に、行政と市民団体の熱意によりボトム・アップで設立された、という経緯を持っています。(ここはちょっと誇らしいところです。)
創立から四半世紀が過ぎ、今ではデイケア以外にも色々な機能を持つようになりました。まず、北海道から委託された「ひきこもり相談の第一窓口」として電話・メール・面接相談をやっています(北海道ひきこもり成年相談センター)。
去年からは、USTREAMを使って全道のひきこもり支援者対象の、ネット動画研修も開始しました。
また、高次脳機能障害の方のデイケア治療にも数年の経験があります。当初は精神障碍と高次脳機能障碍を分ける形でプログラム展開していましたが、最近は、皆さん共通のメニューに混じって入っていただくようになりました。さらにここ2年ほどは、軽度発達障碍の成人例も、デイケアで積極的に受け入れるようにしています。このあたりは、ひきこもり支援と自然とリンクしています。
このような、現場での治療・相談のほかに、全道に関わる広域的な仕事もしています。精神科に長く入院している方(=歴史的長期在院者)を、皆で協力して地域で暮らせるにように支援するお仕事――”地域移行・地域定着支援”に絡んでいます。特に全道の関係者への研修を担当していますが、専門職だけでなく、北海道では当事者ピア・サポーターの要請に力を入れてきました。専門職がピアから教えられることは本当に多いなと、日々実感しています。この、”当事者の力をどう見つけ、引き出すか”という仕事の延長線上に、最近、就労支援B型の”メディア事業所”を設立しました。障碍者だから発信できる情報がある、と考えて新しい事業展開をもくろんでいます。
さて、今回のソリューション・ランドでは、上記に述べた色々な事業を展開する中で、どういう風にソリューションを生かしているのか(または、いないのか?)、自分なりに振り返り、考えてみる機会をいただいたと思っています。もちろん、ふつうにソリューションを学ぶ講座も開いていますが、単純に相談技術としてだけでなく、自分の(また集団としての)発想力の源にソリューションが息づいているような気がします。
当日までに、このあたりの事情を整理しておきますので、興味を持っていただけた方はぜひ御来場ください。(阿部幸弘)